あの記事から19日。日経は68,402円→72,000円になった。「答え合わせ」をしよう 2026年6月22日 | 経済・投資(続報)

6月3日、こんな記事を書いた。

「日経平均68,402円。この相場は本物か崩壊前夜か」

両論を並べて、最後は「中身を見る目が問われる」と締めた。あれから19日。

今日、日経平均は一時72,000円台に乗せた。史上初の水準だ。

68,402円から72,000円。19日でさらに約3,600円、率にして約5%の上昇。あの記事で立てた問いに、市場はどう答えたのか。今日は答え合わせをしてみたい。

まず、何が起きたのか 今日の上昇は、前回とは少し違う理由で起きている。

前回(6月3日)はAI・半導体株の決算期待が主因だった。今日の上昇は、米国とイランの協議進展への期待が引き金になっている。地政学リスクが後退するとの見方から株が買われた。

さらに今月に入ってからの流れを見ると、6月1日には円安進行とAI・半導体株の業績拡大期待を背景に一時66,900円台、その後16日には半導体関連株の継続的な買いで69,404円の連日最高値、そして本日72,000円台——という具合に、ほぼ1ヶ月かけて段階的に駆け上がってきた。

つまり「一発のバブル的急騰」ではなく、複数の好材料(AI決算・円安・地政学リスク後退)が積み重なって、階段状に上がってきたというのが実態に近い。

前回記事の「危ない」論拠は、今どうなっているか 前回挙げた3つの懸念点を、ひとつずつ検証してみる。

① 「一極集中すぎる」→ さらに極端になった 6月3日時点でもアドバンテストと東京エレクトロンの2銘柄で上昇幅の約3割を説明できるという「一極集中」を指摘した。

その後の状況はむしろ悪化している。日経平均7万円突破に際して、時価総額の増加幅は「日本版M7」と呼ばれる一部の銘柄群が半分超を占めているという分析が出ている。

つまり懸念は解消されていない。むしろ強まっている。

② 「割高感」→ さらに高くなった 6月3日時点で日経平均の予想PERは22.4倍だった。直近の野村證券の分析では、日経平均の予想PERは22.1倍、TOPIXが16.9倍とされ、両指数の差(NT倍率)は12.5〜15.5倍が妥当な水準のところ16倍超まで上振れているとの指摘がある。

割高感の指摘そのものは、消えていない。むしろ専門家の間で「上振れている」という言葉が明確に使われ始めている。

③ 「地政学リスクを無視している」→ むしろ「リスク後退」が買いの理由になった これは前回の想定とは逆方向の展開だ。地政学リスクが「無視されている」のではなく、「後退している」という見方そのものが、今日の上昇の直接の引き金になった。

つまりイラン情勢は、リスク要因から一時的に株高要因に転換した。これは前回記事では予測できなかった展開だ。市場は常に、想定通りには動かない。

「バブルではない」論拠も、生きている 一方で、前回紹介した「バブルではない」側の根拠も、形を変えて生き続けている。

野村證券は2026年末67,500円、2027年末72,000円という上振れシナリオを示していたが、今日の72,000円は、すでに来年末の想定水準に1年前倒しで到達したことになる。

これをどう読むか。「想定よりずっと早く到達した」と見れば過熱の証拠だが、「業績の上方修正スピードがそもそも想定を超えていた」と見れば、実態が伴った上昇という説明もできる。

実際、2025年末以降、日経平均株価の12ヶ月先予想EPS(一株当たり利益)が23.9%上方修正された一方で、株価指数も24.6%上昇したという数字がある。株価の上昇率とEPSの上方修正率がほぼ同水準——これは「期待だけで買われている」のではなく「業績の上振れに、株価がついていっている」状態とも解釈できる。

海外投資家の「二つの声」 今の相場感を端的に表しているのが、海外投資家の声だ。

最近の報道では、海外投資家が日経平均7万円について「安全な避難所」と評する声と、「上昇続き割高感」と懸念する声の、両方が同時に存在していることが伝えられている。

これはまさに、6月3日の記事で書いた「両論」がそのまま現実の市場参加者の声として表れている状態だ。誰かが正解を知っているわけではなく、強気と弱気が綱引きを続けている。

野村證券は、海外勢の日本株保有は依然として世界株全体に対してアンダーウェイト(持たれていない状態)であり、今後も25〜30兆円規模の買い余力が残ると分析している。「まだ買う余地がある」という見立てだ。

では、「7万円超え」は崩壊の前夜なのか ここが一番知りたいところだと思う。

大和証券のストラテジストは、次の相場の転換点となりうるのは2026年4〜6月期決算の発表であり、しばらく強気のムードは続きやすいと話している。

つまり「次の試練」は、もう少し先(7月以降の決算発表シーズン)にあるという見立てだ。今この瞬間に何かが崩れる兆候は、少なくとも主要な市場関係者からは出ていない。

ただし野村證券は、2026年後半以降は米国ハイパースケーラーの設備投資の成長率が鈍化する見通しを示しており、これまでAI・半導体株を押し上げてきたエンジンが減速し始める可能性についても言及している。

「今すぐではないが、年後半に向けては潮目が変わるかもしれない」——これが、現時点で複数の専門家がそろって示している見立てに近い。

19日間で学んだこと 6月3日の記事で「中身を見る目が問われる」と書いた。19日経って、その言葉はむしろ強まっている。

一極集中はさらに進み、割高感の指摘も具体的な数字とともに強まった。一方で業績の上方修正という実態も確かに存在し、海外投資家の資金はまだ流入を続けている。

「全部AI株で一括りにする」のではなく、「業績が実際に伸びている企業」と「期待だけで買われている企業」を見分ける必要性は、19日前よりむしろ高まっている。

まとめ 日経平均は6月3日の68,402円から19日で72,000円台に上昇 上昇要因は当初のAI・半導体決算期待から、米イラン協議進展による地政学リスク後退に変化 「一極集中」「割高感」という懸念は解消されず、むしろ数字の上で強まった ただし業績の上方修正率(23.9%)が株価上昇率(24.6%)とほぼ一致しており、実態を伴う側面もある 海外投資家の声は「安全な避難所」と「割高感」の両方が並存 次の試練は7月以降の4〜6月期決算発表とみられている 19日前の問い——「本物か崩壊前夜か」——に、まだ最終的な答えは出ていない。出ているのは「両方の側面が、より鮮明になった」という事実だけだ。

次の答え合わせは、7月の決算シーズン明けにしたいと思う。

参考:日本経済新聞、野村證券ウェルスタイル、EBC Financial Group、Yahoo!ニュース(THE GOLD ONLINE)(各2026年5〜6月)

本記事は個人の見解に基づく情報提供を目的としており、投資判断の根拠とすることはご遠慮ください。


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