米国のドナルド・トランプ大統領は2026年1月30日、連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長にケビン・ウォーシュ元FRB理事を指名すると発表した。現議長のジェローム・パウエル氏の任期は5月までで、上院承認を経てウォーシュ氏が新議長に就任する見通しだ。
事実経緯
トランプ大統領は自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」を通じて指名を発表し、ウォーシュ氏について「偉大なFRB議長の1人、もしかすると最高の議長になる」と評価した。
ウォーシュ氏は1970年ニューヨーク州生まれの55歳。スタンフォード大学とハーバード法科大学院を卒業後、モルガン・スタンレーでの勤務を経て、ブッシュ(子)政権で国家経済会議の幹部を務めた。2006年、35歳で史上最年少のFRB理事に就任し、2011年まで在任。2008年の世界金融危機対応に尽力した経歴を持つ。
指名発表後、金融市場は即座に反応した。米国株式市場ではダウ工業株30種平均が下落し、ドル相場は5月以来の大幅高を記録した。金先物価格は急落し、米国債利回りは上昇した。
指摘される問題点
ウォーシュ氏の議長就任には、いくつかの課題が存在する。
上院承認プロセス:議長就任には上院での承認が必要だが、野党民主党の対応は不透明だ。共和党内でも、ウォーシュ氏がかつて量的緩和政策を批判していたことに懸念を示す議員がいる。
FRBの独立性:トランプ大統領は選挙期間中から金利引き下げの必要性を主張してきた。ウォーシュ氏が選考過程で利下げの必要性を説いたとされるが、FRBの政治的独立性を維持できるかが注目されている。
金融政策の方向性:ウォーシュ氏は、FRBのバランスシート縮小など制度改革に意欲を示している。これが株式市場にネガティブな影響を及ぼす可能性があると専門家は指摘する。
期待される効果
一方で、ウォーシュ氏の指名を評価する声もある。金融危機対応の経験を持ち、市場関係者からは「十分な資質を備えた人物」との評価を得ている。ロイターの報道によれば、市場参加者の一部は「ウォーシュ氏はハト派の皮を被ったタカ派だが、独立した考えを持つ人物であり続けるだろう」と期待を寄せている。
今後の展望
ウォーシュ氏の指名承認手続きは今後数週間から数ヶ月かけて進められる見込み。承認されれば、5月以降の金融政策運営を担うことになる。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は1月27-28日の会合で政策金利を3.50-3.75%に据え置いた。市場では2026年中に2〜3回の利下げが予想されているが、ウォーシュ氏の下ではそれより少なくなる可能性も指摘されている。
トランプ大統領によるウォーシュ氏のFRB議長指名は、米国の金融政策の転換点となる可能性がある。市場はタカ派的な姿勢を警戒する一方、経験豊富な専門家による安定的な政策運営にも期待を寄せている。上院承認の行方と、新体制下での金融政策の方向性が今後の焦点となる。
