2026年3月2日、イラン革命防衛隊は、ペルシャ湾と外洋を結ぶホルムズ海峡の事実上の封鎖を通告した。これは、米国とイスラエルによる2月28日以降のイランへの大規模軍事攻撃に対する報復措置とみられる。
事実経緯
イラン側はVHF無線で「通過する船舶には火を放つ」と警告し、日本の海運大手3社を含む主要船社がホルムズ海峡の航行を全面停止する事態となっている。
ホルムズ海峡は、世界のエネルギー輸送における最重要拠点の一つである。米エネルギー情報局によると、同海峡を通過する原油は日量平均約2000万バレルで、世界全体の約20%に相当する。
日本は原油輸入の約90%を中東地域に依存しており、2023年の輸入量の約74%がホルムズ海峡経由であった。現在、ペルシャ湾に日本関係の船舶43隻が足止めされている状況だ。
指摘される問題点
エネルギー価格の上昇
民間シンクタンクの試算によると、原油価格が1バレル80ドルから100ドルに上昇した場合、日本の実質GDPを最大1.0%程度下押しする可能性がある。ガソリン価格は1リットル200円を超えるとの予測もある。
備蓄の限界
経済産業省によると、日本の原油備蓄は約254日分(約8ヶ月分)存在する。一方、天然ガスの備蓄は約3週間分と少なく、LNG価格は原油価格に連動するため、電気料金やガス料金への影響も懸念される。
物流・製造業への波及
燃料コストの上昇により、運送業や製造業を中心に減産圧力が高まる可能性がある。日本総合研究所の試算では、中東からの原油・LNG輸入が途絶した場合、電気・ガス業や製造業を中心にGDPを約3%下押しする恐れがあるという。
期待される効果
木原稔官房長官は3月2日の記者会見で、現状について「存立危機事態には当たらない」との見解を示した。政府は関係省庁による対策会議を開催し、情報収集と対応策の検討を進めている。
トランプ米大統領は3日、「米軍が石油タンカーを護衛する」と表明した。一方、中国政府はイランに対してホルムズ海峡封鎖を解くよう働きかけているとの報道もある。
経済産業研究所の専門家は「意外と早く沈静化する可能性がある」と分析している。理由として、イラン自身も原油輸出ができなければ外貨を稼げず、最大の顧客である中国との関係悪化も避けたいためだという。
今後の展望
ホルムズ海峡の事実上の封鎖は、日本のエネルギー安全保障に直結する重大事態である。短期的な影響は避けられないものの、長期化する可能性は比較的低いとの見方が支配的だ。しかし、中東情勢の不安定化というより大きなリスクも視野に入れた対応が求められている。
今後数週間の動向が、日本経済および世界のエネルギー市場に大きな影響を与えることは確実である。
