事実経緯
事故が発生したのは、東京スカイツリーの4階から天望デッキ(地上350メートル)を結ぶエレベーター2基。運行途中で両機とも停止し、そのうち1基に子ども2人を含む20人の乗客が閉じ込められた。エレベーターは地上約30メートル付近で緊急停止していた。
東武タワースカイツリー株式会社によると、閉じ込められた乗客に体調不良やケガを訴える人はいなかった。しかし、展望台にいた他の来場客も降下に時間を要し、多数の来場客に影響が及んだ。
救出作業は消防と警察が協力して実施。乗客は長さ1.2メートル、幅40センチの金属板を渡って隣接するエレベーターに乗り移る方法で救出された。全員が救出された後、タクシーで自宅やホテルに戻ったという。
今回事故を起こしたエレベーターは、事故の1週間前に定期メンテナンスを実施していたが、その際には異常は確認されていなかった。また、エレベーター内のインターホンが機能せず、乗客は携帯電話で外部と連絡を取る必要があった。
指摘される問題点
反復性の問題
同一エレベーターで過去に複数回の事故が発生している。2017年3月には27人が18分間閉じ込められ、2015年には扉を閉めるセンサーの故障による事故が発生した。特に2017年の事故は原因が特定されておらず、根本的な解決に至っていない可能性がある。
メンテナンス体制の課題
定期点検直後の事故発生は、点検項目や基準の妥当性、または検査方法に問題がある可能性を示唆している。現行の時間基準保全では、潜在的な故障の予兆を検出できない限界が露呈した形だ。
救出時間の長さ
閉じ込めから救出までに5時間半を要したことは、緊急対応プロトコルの見直しが必要であることを示している。過去の事故では18分で救出されたケースもあり、今回の長時間化の原因究明が求められる。
通信手段の不備
エレベーター内のインターホンが機能しなかったことは、緊急時の通信システムに重大な欠陥があることを示している。
期待される効果
本事故を契機に、以下の改善が期待される。
安全管理体制の強化
東武タワースカイツリー株式会社は全エレベーターの総点検を実施しており、より厳格な安全基準の導入が見込まれる。エレベーターメーカーの東芝エレベータも再発防止に向けた技術的改善を進めるとしている。
業界全体への波及効果
国土交通省は全国の高層施設に対し、エレベーターの安全点検の徹底を呼びかける可能性がある。これにより、日本全体の垂直輸送システムの安全性向上が期待できる。
予知保全技術の導入
IoTセンサーとAIを活用した予知保全システムの導入が加速する可能性がある。これにより、故障前に異常を検知し、事前に対処することが可能となる。
今後の展望
東武タワースカイツリー株式会社は公式ウェブサイトで謝罪文を発表し、「このような事態が再び発生することがないよう、エレベーターを総点検し、再発防止を図るとともに、安全の確認を進め、管理体制の一層の強化に努める」と表明した。
25日以降の営業再開については、点検結果を踏まえて24日に判断する方針。警視庁も事故原因の調査に乗り出している。
東京スカイツリーとしては、原因究明と再発防止策の実施はもちろん、風評被害への対応や来場客の信頼回復が今後の課題となる。観光シーズンを控え、早期の安全確認と営業再開が求められている。
本事故は、高層建築物における垂直輸送システムの安全性に関する議論を再燃させる可能性があり、今後の対応が注目される。
