米連邦最高裁、トランプ関税を違法と判断 相互関税措置の効力認めず

米連邦最高裁判所は2026年2月20日、トランプ大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に発動した「相互関税」を違法とする判決を下した。6対3の判決で、大統領には議会の承認なく広範な関税を課す権限はないとした。

判決の概要

ロバーツ最高裁長官は判決文で「IEEPAは大統領に『輸入を規制する』権限を与えているが、これは関税を賦課する権限を含まない」と明言。米国憲法は関税を課す権限を連邦議会に付与しており、大統領が緊急事態を理由に一方的に関税を発動することは権限の逸脱にあたると判断した。

判決には、リベラル派の判事3人に加え、保守派のロバーツ長官、ゴーサッチ判事、バレット判事の計6人が賛成。トランプ大統領が第1期政権時に任命した判事2人も違法判断に同調した形となった。

相互関税とは

トランプ政権は2025年4月、貿易赤字削減と国内産業保護を目的に「相互関税」を発動。各国の対米関税率に応じて、米国も同等の関税を課すという政策で、日本には15%、中国には最大145%の追加関税が適用されていた。

この措置により、米国の輸入総額は減少したものの、国内物価の上昇や貿易相手国との摩擦が深刻化していた。

政権側の反応

トランプ大統領は判決後、声明で「深く失望している」と表明。判決に従いつつも、「IEEPAより強力な権限がある」として、150日間の期限付きで全世界に10%の追加関税を課すと発表した。

この代替措置は、既に発動している自動車や鉄鋼などの分野別関税とは異なる法的根拠に基づくとみられるが、詳細は明らかになっていない。

経済界と専門家の見解

米国商工会議所は判決を歓迎するコメントを発表。「法の支配が守られた」とし、企業活動の予見可能性が高まることへの期待を示した。

一方、憲法学者からは「三権分立が正常に機能した証」との評価がある一方で、「政権が別の法的手段を探る可能性があり、混乱は続く」との指摘も出ている。

日本への影響

日本政府は判決を注視しているとの立場。経済産業省の試算では、15%の相互関税により日本の実質GDPが年間0.55%押し下げられるとされており、関税撤廃は日本経済にとってプラス要因となる。

ただし、トランプ政権が代替措置を講じる可能性があるため、日本企業は引き続き対米輸出戦略の見直しを迫られる見通しだ。

今後の展望

法律専門家は、トランプ政権が1962年通商拡大法232条(国家安全保障条項)など、別の法的根拠に基づく関税措置に切り替える可能性を指摘している。ただし、これらの措置も司法審査の対象となる可能性が高い。

また、既に徴収された関税の還付を求める訴訟が今後増加するとみられ、政府の財政負担が拡大する懸念もある。

11月に控える中間選挙への影響も注目される。有権者が司法の独立性を支持するのか、強権的な大統領のリーダーシップを求めるのかが、選挙戦の争点の一つになる可能性がある。